国富論 / Wealth of Nations

レビューKei


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5
On 2020年10月20日
Last modified:2020年10月14日

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デザイナー : Nico Carroll
イラストレーター : Gregor Benedetti
プレイ人数 : 3~6 人
プレイ時間 : 120~分
対象年齢 : 13歳~

アグリコラ以降の流行、ワーカープレイスメントと組み合わせでない純全たる拡大再生産を楽しめるゲームで、他の要素は経営に関する交渉と相場の操作と先読みと言うビジネスを上手にゲームシステムに落とし込んでいる経済シミュレーションゲームの大傑作である。

そのシミュレーション性の髙さと交渉がある事や、いわゆるマルチ的展開になりがちな事などから人を選ぶのは否めないが経営ゲームが好き、やってみたいという方には機会があれば是非是非体験していただきたいゲームである。

特徴的なポイント

市場操作と交渉

ゲームの中核をなす要素で生産物を市場に流せば相場は下がり、交渉でも立場が弱くなる。

かといって市場に流して資金調達を行わなければ逆に現金に物を言わせた交渉も行い難く、市場から必要資源の購入も困難になる。

世界で生産数の多くない資源、すなわち価値が高くなりがちな資源は当然次期生産物の候補になりやすく、独占してあぐらをかいていると他者が乗り入れた瞬間からレッドオーシャン化がはじまり、互いの相場が下がる前の売り抜きが市場価格の低下をまねき、安価での交渉を引き起こすと言うダンピング地獄、商業的にリアルな苦しみを味わえる。

レッドオーシャン必至の業界を複数抱えれば地獄の薄利多売、貧乏暇なし生活が待っているのだ。

これを避けるために相場を巧みに操作し、上手な交渉と変動を予測した中核生産物の乗り換え計画が要となる。

巧みな相場情報提示

競りゲームを含む経済系の交渉ゲームの遊び難さ、ゲーム時間の長時間化を招きがちな難点として、そのセッションにおける相場がわからずある程度ゲームが進むまで非常にテンポが悪いという事がある。

国富論ではこの点の解消のために、交渉のテーブルについたプレイヤーどちらにもおおよそイーブンな利益をもたらす相場が各資源に表示されている。

現在の市場価格と適正交渉価格の表示

ささやかなようでいて非常にスピーディーに交渉がすすむようになり、さらには数手先の資源や相場の計算の助けにもなり、結果的に進行に集中し白熱した展開をつくる大きな要素になっている。

第二版ルール

陣取りと言う劇的な変化と基本ルールの素晴らしい調整が入っている拡張 戦雲

大変良くできたゲームなのだが基本セットに含まれるルールでは時間が長引くため、拡張キットの戦雲から、ゲームバランスにあまり影響のない範囲でゲームのスピードアップがはかられている。

戦雲の戦争要素は陣取り部分への影響が大きく、経済シミュレーターと言う範疇を越えるので好みの別れるところなので常時採用するかは微妙なところだが、ルールの改定部分はもたつきがちな展開をパワフルかつスピーディーな展開に変えてくれるので個人的には導入必須と考えている。

具体的には交渉や売買、ゲーム終了時の得点処理の順序等に調整が入っていおり時短効果はてき面である。

ベスト人数

BGG的に4人

と、あるがこれは旧ルールでダウンタイムやゲーム時間が長びくことに起因していると思われる。

改定ルールであれば市場の切り取りあいと交渉の激化、生産物が6種類あることでの初期の分散と取り換えの悩ましさの激化する6人が最良と考えている。

さらに改定ルールでは人数が増えると終了フラグがよりいっそう手前に引き上げられるので、さほどゲームも長引かなくなっている

6人でのにらみ合いながら交渉と、6種類の工場の分散と独占のバランス、走っている資源をどのタイミングで独占を崩すために並列化するかのタイミングの読みあいと6人で遊ぶことによる楽しさの増え方はゲーム時間やダウンタイムの伸びを大きく超えるメリットがあるので是非第二版ルール6人で遊んで頂きたい。

4人や5人では盤面も自由が効いて、えげつない陣取りが起きにくく、勝負が決まってからもしばらくゲームが続くような展開がほとんどであった事も付け加えておく。

ダウンタイムが嫌? 正式交換前に事前交渉してなさい。

拡大再生産について

そもそも大学等でしっかり勉強したわけではないのでボロが出る程は語らないが、拡大再生産という言葉はマルクス経済学から来ていて、余剰資金を資本家の消費に当てずに再投資を行う事である。

よってアグリコラや他に言われる経営者兼ワーカーのコストに生産内容が当てられる場合には厳密には拡大再生産では無かったりする。 ゲーム的なデフォルメされた定義づけに文句をつけたいわけではなく、そもそもこの言葉が真の意味で拡大再生産をしているゲームに対して定義付けを行った言葉だとしたら、教養深く、適切でキャッチーな素晴らしいネーミングセンスなので讃えたい。

そしてゲームシステムとしても相場の変動するリソースが稼働コストとしてかかるので、これに固定費が載ると計算がダルくなるわりにゲームとしての楽しさが上乗せされるかは相当に微妙と思っているので、純粋な再投資にフォーカスしてる部分は大変に好みである。

個人的な興味でこの言葉はプエルトリコか国富論からはじまったのではないかと思って調べているが結論が見つからない。 どなたか情報をお持ちであれば教えてやってください。

最終評価は?

私的に経済シミュレーションゲーム最高峰と思っている。 他にもB2CにスポットをあてたワレスのAutomobileや、株の要素が強い18xx、株と言ってもデイトレードに近いギャンブル要素を色濃くしたStockpileと大好きなゲームも多いなか、経営をリアルなままデフォルメしているという点で頭一つ抜けていると思う。

挙げたゲームは大枠では経済ゲームなのだが若干色がちがっており、経営戦略に重きを置くのであればこの国富論をお勧めする。

古めかしい交渉付きマルチで、序盤に大失敗すると最後まで浮き目が無いと厳しいところもあるが、その緊張感や一つの判断ミスの重さも楽しめるようなゲーマー諸氏は絶対に遊ぶべき一本であると断言する。

国富論 / Wealth of Nations

5

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