Lemonade Stand / レモネードスタンド

レビューKei


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4
On 2020年8月6日
Last modified:2020年8月6日

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プレイ人数: 2-4
プレイ時間:約15~20分
対象年齢:13歳~
デザイナー:Trevor Cram

正直なところデザイナーのTrevor Cramについて情報がなさ過ぎて、BGGによれば30分以下で終わるくらいの軽いゲームを主に作っている人、くらいしかわかる事が無かった。

僕程度の情報収集能力で情報を集められないような方のデザインではあるが、ゲームの方はいにしえのプログラマーの方々にはおなじみ、と言うか下手をすると心の故郷ではないかと言うレモネードスタンドのカードゲーム版をレビューする。
このゲームはゲーム史にとって余りにも意義が大きいながら、現在の日本ではほとんど知られてない気がするのでどちらかと言うと主にゲームそのものより背景やゲームに限らない社会的意義の説明をしようと思う。
怪我と病気で隔離状態だった悶々としたところから社会復帰直後の執筆で、大変長くねちっこいめんどくさい、自分語りを交えた記事になるが是非読んで頂きたい。って言うか読んで。

そもそもレモネードスタンドって?

1870年代の終わり頃、ニューヨークで10代の若者が馬車の御者相手にはじめて大成功したのが成り立ちらしく、少ない元手で子供でもはじめられることから、80年代の後半には子供たちがビジネスの基礎を学ぶと言う名目で家の軒先でレモネードを売りはじめたのが現代のいわゆるレモネードスタンドの起源のようだ。

1970年代の典型的レモネードスタンド

最初期こそ子供たちが夏の風物詩として夏やすみのお小遣い稼ぎに手作りのスタンドで商売をしていたが、次第にチャリティー的な要素も入り始め、扱う物もレモネードだけではなく安価に作れるドリンクならなんでもレモネードスタンドと呼ばれるようになる。

このゲームはそんな夏休みのお小遣い稼ぎをテーマにしたものである。

少し前にフォーブスに児童労働や衛生問題、無許可販売や脱税と、世知辛い話と結びつけなくてはならなくなった文化として掲載されていたのを読んだ方もいるであろうが、良いところだけ切り取りとる。

ゲーム史上の意義って?

Kickstarterのプロジェクトページにもあるとおり、元々はビデオゲームなのだが、このビデオゲームの成り立ちがなかなかに面白い。おそらく初めての児童教育を意識したビデオゲームなんじゃないかと思う。

1973年にMECC(ミネソタ教育コンピューティングコンソーシアム)がオリジナル版を作成する。
リアルのレモネードスタンド自体、教育的意味をもっていたが、体験しやすいビデオゲームで遊びながらビジネスを学ばせようと言う趣旨で開発が行われた。当時筆者はまだ生まれてもおらず、思い入れが深いながらいまだにオリジナル版には触れたことがない。

その後1979年にAppleIIにリファインされつつ一般製品としてリリースされ、数年後日本にも入ってくる。当時小学一年生だった筆者は友人宅でこのバージョンに出会う。

翌日の天候を予想して好天なら高値でも沢山売れるので値段をつり上げ大量に生産、悪天なら逆に生産も値段も絞るという、需要と供給バランスを学べるとてもよくできたゲームだった。

カードゲーム版もほぼ同じルールで、派手な変化がつくように天候に嵐が追加されたり、いたずらおもちゃの効果で他人のスタンドや商品を台無しにしたりとプランキーな要素が追加されている。

ここで一度脱線。

ゲームバランス的にかなりえげつない効果をもつ特殊カード

イスカンダルのトーフ屋ゲーム

日本では時期を同じくしてテーマを豆腐にしたとてもよく似たゲームが出回った。全て平易なベーシックで記述されていて、オリジナルのポケコンから色々な人が自分のもっている機種に移植をしていて様々な機種で遊ぶことができた。

自分が当時使っていたのがPC8001とPC6001だったかで、AppleII版のレモネードスタンドを遊んでうらやましがっていた僕に、友人のお父上が日本語版レモネードスタンドとも言えるイスカンダルのトーフ屋さんのリストダンプ(要は紙に印刷されたソースコード)のコピーを下さり、自分のマシン向けに書き直してみたら?と言われ8001に移植したのが自分のプログラマとしてそれらしい原体験だったと思う。

平易なベーシックで書かれていたこともあって、AppleIIのレモネードスタンドの代わりと言うことだったのかはわからないが、まわりではゲームプログラムの基礎を学ぶセオリーになっていたように思う。
実際かなりの数の移植作が現役のプラットフォーム上にまで存在していて、3DSのプチコン版やpython3版まで存在する。

その後掲載紙を出版している会社に入ったりどっぷりこの業界の人間になったわけだが、どこで話をしても共通認識としてレモネードスタンドの日本語版的扱いだったトーフ屋ゲーム、作者の方がご自身のサイトで特にレモネードスタンドを参考にしたものではない、とおっしゃっていて自分にはなかなかショッキングな事実ではあった、がそれはまた別の話。

Oregon Trailとイスカンダルのトーフ屋ゲーム(JS版)

話をビデオゲーム版レモネードスタンドに戻す。

とにかくこのゲーム周辺はビジネスだけでなく、プログラミング方面でまでエデュケーショナルな空気に満ちていて、オールベーシックで書かれていて読みやすかったこともあり、数年後に同じくMECCからリリースされたOregon Trail(こちらもカードゲームになっている)と並んでゲームプログラムを学ぶなら中身を読んでおくべき、と自分の近辺ではよくいわれていた。
エデュケーションと言えど、リスト(ソースコード)からプログラムを学ばせる意図がMECCにあったとは思わないが、日本では当時のプログラマ人口的にほどほどと言ったところであろうが、自分より上の世代のアメリカ圏のプログラマにはとてもなじみ深いのでは無いかと思う。

同じようにカードゲームになったOregon Trail(From BGG ID: 5482601)

エデュケーショナルな側面

自分の観測範囲ではゲームと教育、と言うと大げさだけどなにかしらの為になる要素も考えたゲームと言うものの効果への疑問、どころかアレルギー反応くらいの反発もよく見かける。

ゲームだけやって何かしらの立派な知識がつくかと言うとそれは確かに疑問ではあるのだけど、売買の基礎や両親とのコミュニケーションを通じて学ぶこと、このゲームのようにまわりまわってプログラムへの興味のきっかけになったりすることもあるので、教育とアナログゲームの相性はそんなに悪くないんじゃ無いかと思う。

直接足し算引き算の計算をしましょうみたいなものではなく、子供や若い人達が新しい事や苦手と思っていることに興味を持つきっかけになるようなゲームが、物作りの得意なはずの日本からも沢山でるといいなと願う。

カードゲーム版の評価は?

ごちゃごちゃと長話をしたところでそもそものカードゲームの評価。
元になったビデオゲームの楽しいポイントはほとんど全て残っていて、ダイスよりは予想できつつもやっぱり裏切る天候、そこに追加で運ゲーやないか!と言いたくなるレベルの強烈な効果のカードでの波乱も楽しい。

stockpile等に似た株ゲームの相場予想を10分から20分ほどで楽しめるのは実はかなり貴重なんじゃないかと思う。 10分程度で終わるので運や無慈悲な攻撃での撃沈も笑い飛ばして終わらせやすい。そのような楽しみ方を許容できる方ならかなりおすすめできる。
国内に正式な代理店こそないものの、在庫を見かければまだまだそれなりに安価に手に入るようなので軽いゲームが好きな方は是非。

天気予報から売れ行きを予測して同時プロットで売買する

結び : Alex’s lemonade standについて

ゲーム外の事ばかり書き連ねてさらにゲーム外のお話。
チャリティー色の濃い話になるが、この記事を通じてレモネードスタンドについて少しでも興味がでたら表題の

Alex’s lemonade stand
もしくは
アレックス レモネードスタンド

で検索してみて頂きたい。
ここで僕の意見や感想を押しつけるのでは無く、一人でもいいのでご自身で興味を持って検索し、知るきっかけになれたらこの記事を書いた意義にもなる。

それでは良き夏休みを。

レモネードスタンド

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