エマラの王冠 / Crown of Emara

レビューKei

Review of:

Reviewed by:
Rating:
4
On 2019年9月9日
Last modified:2020年7月3日

Summary:

デザイナー Benjamin Schwer
プレイ人数 1-4
プレイ時間 45~75分
対象年齢 12+

作者はHABA等キッズ向けメーカーからButtonやCrowns等軽いながらピリリとスパイスの効いたゲームを手がけており、この作品を皮切りにゲーマーズゲームもリリースしはじめる。 近作のHadaraも話題のまっただ中とホットなデザイナーの一人と言える。
今回は転身のきっかけでもあり初の中量級で執筆時点で日本語版発売当日と言うエマラの王冠をレビューする。

どんなゲーム?

偉大な先王の後継者となるべく爵位を持たない若手貴族となり、王に自分の存在を示す。
臣民の信頼と臣民の住まう住居、どちらも獲得していく点が非常に独特。ゲーム終了時にはいくら臣民を獲得していても住居の数以上は得点にならない為、高得点を狙うには同時に住居の建設も必要となる。

特徴的な分割された二カ所で独立したロンデル

プレイヤーが行動する舞台となるボードが2カ所に別れているのも特徴的。主に生産を行う郊外地区と生産物を使い得点を獲得していく都市部、この2カ所をそれぞれ独立したロンデルでアクションを選択していき覇を競い合う。

ご存じない方の為にロンデルシステムをざっくりと説明すると、マスで区切られた円を周り止まったマスのアクションを実行するシステム。同じアクションを連続で取りにくくなり、逆に数手番先に自分の実行できるアクションが見通しやすくなるので計画性を必要とするゲーム展開が作りやすい点が特徴と言える。

楽しいポイントは?

まずは前述のロンデルが郊外/都市と二つある点。
それぞれの独立したロンデルで計画を立て、さらにもう一つのロンデルと連動させる。数手番かけて仕込んだプランががっちりと噛み合って成功した瞬間の高揚感はなかなかのもの。

そして多彩な得点手段。付随する住居による得点キャップ。
住居を建てないと得点に上限があり、獲得した得点が無駄になるのは前述のとおりで、バランス良く両立させる計画性がここでも求められる。
さらに他のゲームで言う勝利点にあたる臣民点と住居数、どちらも獲得手段が豊富にある。
王への贈り物による信頼を獲得し爵位をあげる、生産をすすめ領地を繁栄させる、学問をすすめ臣民に知識を与える、影響力のある人物に助力を仰ぐ等々。

得点は臣民によるものと住居数の二つからなる

この豊富な得点手段のほとんどが先取り有利となっているため、他プレイヤーに先んじるか、あるいは競争を回避してリスクを落とすか、ここでも数手先を見通した計画性が大切になる。

ゲームデザインによる思考の補助

このゲーム全員同一構成の9枚のカードからなるデッキをシャッフルし、1ラウンドにそのうちの3枚を手札として引き、3回のアクションを実行していく。
これを3回繰り返し、使ったカードを戻してもう一度9枚使い切ったらゲーム終了となる。

ラウンド毎に3枚プレイするだけ。この3枚を使ったプランニングで勝負が決まる

この1ラウンドに3枚を使わされると言うバランスが絶妙に見通しをよくしており、逆にそれ以上先の見通しを難しくしている。
この事により2手番先までを見通せば大体勝負になるし、それ以上の計画はラウンド移行時のカードの引き運やラウンド毎に起きるイベントで読み切るのが難しくなってくる。

ゲームシステム側が計画を立てやすい距離でリミッターを掛けてくれているお陰で、極端な長考にもならず完全なアブストラクトほどプランニングの得意な人間が強いと言う事も無くなっている。
プランニングが苦手な人に対しての補助として手札の数だけ考えれば良いと言う目安を提供している事は非常に大きく、多彩な得点手段の割に軽い遊び口のゲーム性を作り上げる重要な幹になっていると思う。

弱点は?

あちこち褒めたのであまり良くない点も

思考量やコンポーネントの割にあっという間にゲームが終わる。もちろん美点でもあるのだが初回インスト抜きで4人1時間程度。慣れれば公称の45分を切ることもあるかもしれない。箱絵やコンポーネントには重いゲームの風格があるので物足りなさを感じる事はあるように思う。

軽さの割にセットアップが面倒なのもあまりよろしくない。
共通コンポーネントだけでカードデッキ3山、タイルデッキ1つ、資源に至っては10近い上、勝利点順に並べる爵位カードが20枚以上あり、感覚的には平均的な重量級ゲーム程度には準備に手間がかかる。

また日本語版にはエラッタがあり、資源の消費量を示すマーカーが鏡文字になってしまっている。このチップは時計回りに回して使うが向きが逆転しているためエラーのあるチップだけ反時計回りにする必要があるので混乱があるのは否めない。(後日無料で修正されたタイルが配布され、以降出荷されているものは修正済み)

鏡文字になってしまっているチップ

まとめ

思考量が多く長いプレイ時間になりがちで、遊びにくい中長期計画を中心としたゲームをとても遊びやすく1時間程度にまとめた希有なゲーム。
計画性の必要なゲームが好きな人はもちろん、どちらかと言うと苦手と言う人の入門にもよい。 きちんと紹介してないが、セットアップによるランダム要素は非常に多彩でリプレイ性もきちんと担保されている。
人気のシステムにもかかわらずそんなに数の出ていないロンデルを採用しているのでロンデルが好きな人や未経験の人にも是非プレイしてもらいたい。

ボードゲーム エマラの王冠 日本語版 (Crown of Emara)

Kei

Kei

できるだけ感覚そのままより言語化、体系化して伝えるレビューを心がけてます。

4

    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です